第1章

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翌日、出社してみると彼の姿はまだなかった。 前日は1時間経っても連絡がなく、心配だったため再度こちらから連絡してみた。それでも出ることはなく、そして向こうからの連絡もないままだったので早く会いたくて仕方なかった。 始業ぎりぎりで博貴は出社してきた。 朝に強い彼には珍しいことだ。 私たちは席が隣同士なので、就業中でも話すことが可能だ。 「博貴、昨日どうしたの? 連絡ないから心配したじゃん。」 小声で聞いてみると、 「ごめんな。 なんか疲れててさ。 早く仕事終わらせて帰りたくて。 そして家に着いたら爆睡しちまった。」 同じように小声で返ってきた。申し訳なさ全開の、抱きしめたくなるような顔をしながら。 「そっか、もう大丈夫?」 「ああ、もう大丈夫。 心配かけて悪かったな。」 彼の顔を見ると、いつも通り元気そうだったので安心した。 ぎりぎりで来たのも帰って爆睡したために朝の準備が大変だったのだろう。 それから数日は平和に過ごすことができた。
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