第1章

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***** * * * * 愛未と飲んだ翌日の日曜日は博貴と映画を観に行くことになっていた。 駅で待ち合わせして映画館へ向かった。 人ごみの中、博貴に付いていくのに苦労した。 いつも手を繋いでいるから博貴と人ごみの中を歩くことを大変だと思ったことはなかった。 「博貴~。」 呼びかけると、んっ?と振り返ってくれた。 手を差し出すと、 「どうした?」 と、聞かれた。 私は目をパチパチさせて 「手ぇ」 と、言ったのだけど、一瞬だけ間を置いて言われたのは、まさかの衝撃発言。 「ごめん、さっきトイレ行ったのに、故障中でさ、手を洗えなかったんだよ。」 私はさらに目をパチパチさせた。 そして、ぶはっと笑った。 「博貴、ばっちい。」 ちょっとツボってしまい、笑いがなかなか止まらなかったら、それを見た博貴も笑い始めた。街中で2人爆笑するとか、バカップル丸出しだったに違いない。 映画館に着くと、すぐさまトイレに行った博貴は、後はいつも通り優しさで溢れていた。
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