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会議が終わり、私は部屋には戻らず
お姉様が戻ってくるのを廊下の端で待っていた
「名前……存在……」
待ちくたびれ考え事をしていると
ふと、2つの単語を呟いていた
私は存在……ううん、確かにここにいるよ
首を振って頭の中の言葉を消そうとする
そこへ、お姉様が帰ってきた
「お姉様、お疲れ様です」
私がそう声を掛けたのだが
お姉様はこちらを見ない
「……お、お姉様!」
通り過ぎてしまう直前
お姉様の腕を掴んで引き留めた
そうでもしないと
私の存在が消えてしまいそうだったから
お姉様は腕を掴まれても
こちらを振り向こうとしなかった
「お姉様、どうしたのですか?」
「…………」
返事は返ってこなかった
確かに、触れているはずなのに
お姉様が他の星にいるみたいに遠くに感じる
自然と手の力が抜け、お姉様は
私の前からいなくなってしまった
「何で……」
最後にそう言い残して……
...
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