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「ねぇ、シン……」
父がいなくなってから
どれほど月日がたっただろう
他の星との戦争は、とどまる事なく
激しさを増していて、終わりが見えない状況だ
僕も、いつの間にか大人と呼ばれる歳になり
この戦争を他人事と言える立場ではなくなった
そんな時に、上層部の誰かが
「全戦力をぶつけて、この戦争を終わらせよう」
と、無責任ながらに言い放った
普段なら、どんなに悲惨な結果が出るか
容易に想像がついたであろう
しかし、疲弊しきったその頭では
善悪の判断などつかなかった
そして、上から命令が下る
「各国、持てる武力を集め
戦場へ向かってくれ」と……
……いい加減にも程がある
でも、口出し出来る程の立場じゃない
命令に従うしか選択肢はなかった
出発の前夜、大切な人と
夜空を見上げながら歩く
「ねぇ、シン……
必ず、帰ってきてよね」
僕に向かって、叶うはずのない約束を
押し付けてくるのは止めてくれ
心が痛むだけだから……
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