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「ねぇ、覚えてる?」
君との約束は守れる自信はない
でも、再会したい気持ちは同じだ
君だって、いつかは旅立つのだから
待ち合わせ場所を決めておけばいいじゃないか
「……昔、2人で見たあの月と星の事
月の上に1つだけ星があってさ」
「うん、覚えてるよ
とっても印象的だったから」
「そっか……あのね、その星をさ
僕達の待ち合わせ場所にしない?」
「えっ……?」
君には、少しつらい提案なのかもしれない
でも、永遠の別れにはならないって事を信じてる
「……今回、恐らく帰ってこれないんだ」
「そんな、そんな事言わないで!」
「……でもね!
皆、いつかは旅立つ運命なんだって
たまたまそれが早かっただけで
ずっと逢えないわけじゃない」
「…………」
涙を目に浮かべている君を見ているのが
これから命を落とす事よりもずっと悲しい
本当はここで、一緒にいたい
でも、それが叶わないから
あの星に願いを込めて……
「あの星で、また逢おう……」
君はとうとう涙を流して
黙ったまま頷いた
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