星ノ名

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ライの後について、私は 地下へと降りていった 「どこへ行くんですか?」 「……そのうちわかるさ」 「…………」 「君が活躍するために必要なものを取りにいく と、だけ伝えておこうか 変に疑われても困るしな……」 ライは笑いながらそう言うと 階段のライトをつけ、私の前を進んでいった 「…………」 私が活躍……そうすれば、私は この世界に存在する事が出来るんだ 今までの生き方から、何かが変わりそうで 少し期待を抱きながら階段を降りていく そして、最後の一段を降りようとした その時、言葉にならない叫び声が やけに近くから私の耳を響かせた 「……お、お姉様!?」 振り向くと、そこにいたのはお姉様だった 「あなた、何故この男についていってるの!?」 これまで見た事がないくらい お姉様の表情は怒りに満ちていた な、何で……? 「だ、だって…… 私が世界を救えば……」 「あなたが世界を救う!? そんなの出来るわけが無いでしょう! いい、そんな男の言う事なんて聞かないで 早く部屋に戻りなさい! わかった!?」 「…………」 な、何…… 私には、世界が救えない? 「お……お姉様……」 い、いや、私が動かなきゃ 戦場に出るのはお姉様なんだ…… 「お姉様、ライが言うには 私には、世界を救う力があるんだって 王家の血を引いてればいいんだって! だから、私だって世界を救えるよ」 「はぁっ、何を言ってるのあなたは! 馬鹿な事を言ってないで、早く戻りなさい! ライには私が忠告しておくから!」 「でも、お姉様! ……わ、私が世界を救えば名前が貰えるんだよ? 私は、この世界に存在する事が出来るんだよ?」 「…………」 お姉様は、急に黙ってしまった 握りしめた手が震えている 「……あなたね! 何が目的で、その男についていったの!? 名声が欲しいから? そんな理由なの!?」 め、名声…… いや、違う…… 「違うよ! 私はただ、ここに存在したいだけなの! それに……お姉様を……」 「……あっ、あなた、その話を誰っ!」 ……お姉様は、何か言いかけたけど いろいろと悟ったらしく その後は一言も口にしなかった
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