星ノ名

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「…………」 静かな空間が広がっている中 僕はどこに浮かんでいるのだろう 足をつける地面すらない 自由で、混沌とした それでいて、綺麗な世界 僕は、宇宙船のメンバーの中では 比較的、若い方であった それが理由なのかは知らないけれど 小型のロケットに乗り込み 前衛として、敵地に乗り込んだ 母船から切り離される時の恐怖感は 死とイコールだった 歴史の授業で聞いた事があるけど いわゆる特攻隊ってやつだ ……でも、宇宙を眺めているうちに 死ぬ事なんてどうでもよくなってきた そもそも自分が存在して 何の意味があったのかわからない 消えたら消えたで この広い宇宙に与える影響はあるのだろうか? ……無いだろう だったら、さっさと死んで 大切な人と約束したあの星で再会したい 僕の願いはそれだけだった ダメだ、気が狂ってきた 本当は、そんな事思ってなんかいない 僕が、この戦争を終わらせるんだ 特攻隊とはいえ、僕が突破口を開けば 世界は救われるんだ そして、僕がここにいる証を残す 存在している証を残すんだ 僕の名前を刻んで この戦争を僕が終わらせる 強い意志を持て 自分を信じろ! ……人任せな人間が、この世界には多すぎるんだ 誰しもが、この世の状況を把握し 変革の必要性を口にする それでも、行動出来るのは、ごくわずか じゃあ、僕はそのごくわずかになれるのか? そんな自信は無い だって、僕は普通の人間だ 誰だ、こんな責任を押し付けてきたやつは!? ……気持ちがぶつかりあっている でも、時間が無い…… さぁ、敵地が見えてきてしまったぞ シン、お前はどうする?
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