星ノ名

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私は……誰? 空間の中で確かに存在している でも、存在していると思っているのは 私だけ……私しかいないから 他者がいなければ 存在する事ができない 他者がいたって 私を認識してくれなきゃ 存在している事にはならない 他者が、私を認識するには 名前を呼ばなければならないんだ でも、誰が私の名前を呼んでくれた? 昔、お話を教えてくれたおばあさん 違う 私をここに連れてきたライ 違う 星を統制していたお父様 違う じゃあ、大好きなお姉様 違う みんな、私の事を 二番目、二番目って呼んでいた 私は……二番目なの? 違う それは、名前じゃない じゃあ、私の名前を呼んでくれるのは誰? 私自身? 無理だよ、私だってわからないんだから 自分の名前がわからないんだから 生まれた時から、二番目 私は、二番目として存在している でも、それは私じゃない 二番目は二番目であって、私じゃない 私は……誰? 私は…………わからない…… 今にも消えてしまいそうな恐怖 ほら、この気持ちにすら “恐怖”っていう名前がついている 世界の全てに名前がついているんだ 違う 名前がついている物しか 世界には存在していないんだ やめてよ、そんな事言わないで 私が、私が消えてしまう 誰か、名前、呼んで…… 私の名前を呼んで…… 私は、ここにいるんだよ…… ...
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