星ノ名

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ーーいよいよ、戦地へと入った 敵軍の攻撃をかいくぐり 「シリウス」と呼ばれる星に降りた でも、一時も休まる機会が無い 僕はあっという間に囲まれてしまった 「くっ……」 周りの様子を伺いながら 何とか突破する方法を考える すると、輪の中から 1人だけ僕の方に向かってきた 「……な、何だ!?」 「おっと、怯えなくていいんだ 私は別に君と戦う気は無いんだ」 ……騙されるな、慎重に、慎重にだ 「君は、この戦争をどう思っている?」 「僕は、この戦争を終わらせる 僕自身の力で、終わらせるんだ!」 「ほぉ……」 戦地とは思えないほど その男は冷静な顔つきだ 男は僕の顔をジロジロ眺めながら、話を続ける 「君、1人で……かい? この大きな戦争を君だけの力で? いやいや、笑わせるじゃないか」 「何だと、やってみないとわからないだろ!?」 「おっと、すまない 怒らせる気は無いんだ あのな、実は私も戦争を終わらせたいと ずっと考えてきたんだよ」 「…………」 「この星は、代々王家によって 支配されてきていてな、その王家ってのが やけに好戦的な人達でね~困ったものだよ 今回の戦争もそう 王家の独断によって動かされているんだ ……察しがよければ私の言うことがわかるね?」 「……手を組んで、王家を倒そうと?」 そんな都合のいい話…… それがあり得る気がしてならない 戦争下において人々の心の中には 潜在的な不満……それも、味方に対する不満がある こうして、外に出してしまう人も 存在していてもおかしくないだろう…… これは、内側から崩すチャンスなのか? 「……共に戦ってくれるか?」 男が手を差し出した 「……いいだろう、僕の名はシンだ」 「シン……いい名だ、よろしく 申し遅れたが、私はライという この星の大臣にあたる者だと把握してくれ」 だ、大臣だって……!? つかんだチャンスは 予想以上に大きいのかもしれないぞ……
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