星ノ名

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そうだ、その妹は今、無事なのだろうか それとも、とっくにこの戦争で 死んでしまったのだろうか…… とても気になるが、内容が内容なだけに 上手く話を切り出す事が出来ないでいた その間、リアは心を落ち着かせ 僕に向かって話を続けた 「お父様は、もうじき終戦協定を結ぶはずよ だから、あなたも安心して…… ちゃんと、送り返してあげるから」 「そうか……ありがとう……」 「…………」 話が終わったはずなのに リアはまだ何か言いたげな表情で こちらをじっと見てくる 「……あの」 「リア……まだ、終わってないんだろう?」 星の王女としては この戦争を終わらせたわけであって 安堵してもよい、いや、するべき所であろう しかし、リアの表情に、それが読み取れない 世界がこれから、無くなってしまうのではないかと 恐れているかのような表情に見えて仕方がない リアは肩を震わせながら 「あなたを巻き込めないから……」 と、呟いた 巻き込めない…… 恐らく、妹についての事で間違いないだろう 星の王女としてずっと生きてきた彼女は 人を頼る事を知らないんだ 自分が人を動かす これだけしか、知らないんだ 「……リア、話して」 「話したって、あなたには どうにも出来ない事なの!」 「リア、落ち着いて あのな、色々心配事を溜め込んでおくのって 良くない事だと、思うんだ だから、話すだけ話してみてよ 心を軽くするって事でさ!」 優しい嘘 本当は、リアと妹を助ける事しか考えていなかった 「あの、じゃあ……話すよ……」
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