星ノ名

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リアは、王家に伝わる話をしてくれた 王家の血を継いでいる者は ある一定の条件下において姿を変えるらしい その姿は、今の状態からは想像がつかないほど 醜く、そして恐怖を与えるそうだ そして、見た目だけではなく その者の心の闇を力として破壊行動をとるらしい 「……それじゃあ、リアもそうなる可能性が」 「あぁ、あり得る事だろう」 「それで……その話をしたという事は……」 妹が、今、その状態なんだ 「ここの地下室に妹は閉じ込められている その叫び声が、時々響いてくるんだ 正直、怖い……でも、助けなきゃいけないの だって、私の大好きな妹だから!」 それが早く聞きたかったよ、リア 君の想いがあれば、僕が動く勢いになるから 「よし、リア、今すぐ行こう! あなたの妹さんを僕が助けるから そこまで案内してくれるか?」 「……あの、シン? あの子はこの戦争の奥の手として 半ば無理矢理あの場所へ送られたの 奥の手とされているって事は、わかる? 本当に恐ろしい存在なの」 「…………」 「だから、無理は……しないでよ? これ以上、誰も失いたくないから……」 あぁ、それもわかってるさ リアの後をついていき 地下室の扉の前に着いた 「この扉の向こうに……」 「ええ、しかも この扉の向こうは、別世界に変化しているの あの子が作りだした世界だから どうなっているのかは、入ってみないとわからない 恐らく、何も存在していない世界だと思う 名前を持たない……世界……」 先ほどの話から考えても リアの意見のは納得できた リアの妹にとっては 名前を持たない事が心の闇なんだ だから、その周りの世界も 彼女と同質になってしまうのだろう リアにとっても未知の世界なら 僕は次元の違う世界に飛び込んでいくようなものだ それでも、足が動かないわけじゃない その重い重い扉を勢いをつけて開いた そして、目の前に見える世界へと 僕とリアは進んでいった ...
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