星ノ名

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その夜は、空が綺麗だった 綺麗な星達を結んで形を作る 独りきりの部屋の窓から いつもそうやって遊んでいた あの星とその星を結ぶと 可愛い花の形になるとか 赤い星と青い星を交互に結ぶと 小川のようなものが出来たり とにかく、そうしてる時が 一番楽しかったんだ よく観察してるから 一つ一つの星の色、形が 全部バラバラだって事も気づいた その星達を結ぶと 世界を作り出す事が出来る気がした 私だけの世界 みんなに名前をつけてあげて このベッドから眺めているのが好きだった ドンドン、と誰かがドアを叩く音がした 「二番目、早くこちらへ来なさい?」 声の主はお姉様だった お姉様は次、この星の女王様になるすごい人だ 一方、私は「二番目」と呼ばれ 別に約束された将来を与えられてるわけではなかった そう……私は名前を持っていないの 誰もが私を「二番目」と呼ぶ お姉様には名前がちゃんとある お姉様は“リア”って名前 みんなからは「リア様」って呼ばれている でも、今まではそれを羨ましいと思わなかった それが当たり前で別に何もなかった お姉様もいい人だから 私はこの環境に不満はなかったんだ ……それなのに、今日聞いてしまった おばあさんのあの言葉 私は、名前を持たないから…… ...
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