星ノ名

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ーー「夜遅くに集まってもらいすまない ただいまから、次に侵攻する星について 皆に伝えておかなければならない」 私が連れてこられたのは この星の軍事会議室 会議室とは言っても 星のお偉いさんがたくさん集まってくるから それなりの広さがある部屋だった ざっと見て200人ぐらいだろうか…… 「お姉様、今日の会議って……」 「リア様、あちらへ」 「うん、わかった」 あっ…… そうだ、今のお姉様は 星の王女としてここにいるんだ 2番目の私の話なんか 聞いてくれるわけないんだ しばらく、部屋の端で 黙ったまま話を聞いていた どうやら、他の星を攻めるとか攻めないとか お姉様のいう通り、大臣達は 本当に気まぐれな人達ばかりで コロコロと意見が変わる なかなか進まない議論にうんざりしたのか ある1人の大臣が大きな声をあげた 「その星には、凶悪な者ばかりが住んでいると 以前、聞いた事があります」 「おおっ、そうか お主、名は何という?」 この星の現在の王様 つまり、私とお姉様のお父様は 会議室の上段からその人に声をかけた 「はっ、私はライと申します あの星は我が星にとって脅威となる星です 支配欲に溢れ、同族同士で殺し合いも行う 残虐な種族がその星にいます」 ライ……というその男は 妙に説得力のある話し方で その場の人達を釘付けにした 「また、同じ星の下等生物の生死を コントロールするという事も行っています 彼らは、自分以外の全てを下と見るのです もし、私達の星が侵略されたらどうなる事か……」 し、侵略……!? そんなの嫌だよ…… 彼の言葉が途切れる度に 会議室にどよめきや悲鳴が響く 「……だから、皆さん! 今こそ立ち上がるのです! 我々から先にあの星へ向かって 侵略を食い止めるのです! 皆さん、どうかご協力を! 共にこの星を守ろうじゃないか!」 「「オオッ……オオーッ!」」 ライは歓声に包まれる まるで、自分の存在をみんなに知らしめるように 右手を高々と上げ、何度も鼓舞した どこかで怪しいのは気になるけれど この星の運命はこのライという人が 決めたのには違いない お父様も笑顔で頷いていたから 私も信じる事にした
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