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「やはり水を探しに出ないと、か」
少年の言葉に、直ぐ隣を歩いている護衛がすかさず、なりません、と目を鋭くする。
「殿下はこの国には無くてはならない存在なのですから、無茶な行動はお控え頂かないと」
少年はこの街で、日々、勉学に励み身体を鍛え剣の技を磨き、この国を統治する王の後継者として生きている。
「無くてはならない、か。国の者が居なくなってしまっては、それこそ私が存在する意味は無いだろう。指を銜えて雨を待つのは終わりだ。このままでは国が滅ぶぞ」
少年、いや、王子の言葉に護衛は黙り込む。
王が何組かのパーティに水を探させているのだが、どの組も戻って来ておらず、進展は無いのだ。
「しかし、その様な危険な事を王がお許しになる筈がございません。新たに何組かを派遣するおつもりの様ですし、殿下は自重なさって下さいね」
睨まれながら言われ、王子は肩を竦める。
彼が幼い頃から側で護衛をするこの者は、ガンストと言う厳つい長身の男。
お陰で彼と話をする時に王子は、首が痛くなるほど見上げねばならず、疲れた顔をする。
(って言うか、ムカつく!その身長を少し寄越せ!)
そんな事を思う王子。
「まあまあ、殿下。その様にガンストを睨まないで下さい。殿下が心配で仕方無いのですから」
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