247人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
「今、女じゃないとでも?」
「神に仕える貴女に、性はありません。
神に愛されたものは、月のものさえ、止まるとか」
まるで、人としての生殖機能を取り上げられたかのように。
「よくご存知で」
と言いながら、真鍋以外誰も居ない、寝所の向こうに姿を現した。
真鍋が目を細めて成子を見る。
「いいのよ。
私にはそんなものいらない。
だって、斎王はどうせ、人を愛してはならないのよ」
「成子」
と床下から声がした。
「では、お前に神が愛せるか」
わからない、と成子は思う。
御簾の向こうでしか見ない神を愛せるかどうかなんて。
最初のコメントを投稿しよう!