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「お前は知らないだろうけど、俺はずっと前からお前に惚れてたんだぞ。七つも下の女に惚れるときついぜ、我慢することがその分増える。ここまで成長しちまうといい加減我慢が効かなくなりそうで怖い。昨日のことだって、相当驚いたんだからな。こっちが攻めてもお前全く怯えねぇしよ。相手が俺じゃなかったら間違いなくやられてたぞ。俺だって、後一歩間違えば……何とか理性が勝ったけどよ。お前は純粋な気持ちだけでぶつかってくる、罪意識がないだけに一番質が悪い」
佐々木は眠っている舞花に軽く優しく口付けた。
「ただで済むと思うなよ、俺をあんだけ挑発しておいて……準備が整ったら逃げるとか許さないから。俺がもう逃がさない。お前はもう、俺のものだ。他の誰にも渡さねぇ」
*
翌朝。佐々木が目覚めると既に起きていたらしい舞花の姿があった。何らやキッチンで洗い物をしている。
「おはよ! 兄さん」
「あぁ……おはよ。早いなぁお前」
「うん、目が覚めちゃって。あっ、そうだ。ついでって言ったらなんだけど兄さんの分のお弁当作っちゃったから良かったら持ってって」
舞花はダイニングテーブルを指差した。そこには男らしい大きめの弁当が置いてある。
「ありがとう、助かるよ」
「私料理には自信あるんだ。適当に使っても良さそうなもの冷蔵庫から物色しちゃったけどよかった?」
「あぁ、大したもん入ってねぇし気にするな」
佐々木も朝食を用意するためキッチンに入ると舞花とすれ違った。その時舞花のポニーテールが手に触れた。佐々木は少し意外そうな顔をする。
「舞花、お前風呂入ったか? 髪濡れてるけど」
舞花はキッチンを出ていた舞花は振り返って照れ笑いする。
「バレちゃった? 髪頑張って乾かしたのになぁ……。昨日泣き寝入りしたからお風呂入ってなかったこと思い出して、シャワーだけざっと浴びたんだ」
「ふーん、まあそれだけ乾いてりゃ大丈夫だと思うけど風邪ひかないように気をつけろ」
「うん! 了ー解」
ふざけて敬礼をする舞花に佐々木は笑って返した。そういえばあんだけ泣いてたのに目が腫れてないことに今更ながら気付いた。
「じゃあ兄さん、私はもう行くねー。どっかのねぼすけを起こしに行かなきゃだから」
「気をつけて行けよ」
「うん。じゃあいってきます」
舞花は早足で玄関まで駆けていく。佐々木はその背中に声を掛けた。
「いってらっしゃい……と」
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