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数分後、舞花が佐々木を呼んだ。か細い声で兄さんと言う。佐々木は部屋に再び入った。舞花をベッドに入れて布団を掛ける。
「おやすみ。明日は無理しなくていい、俺が学校まで送ってく」
「ごめんね、迷惑かけちゃって……勝手に、病院行ったり」
「もういいから。元気になったらたっぷり叱ってやる」
えへへと微笑み舞花は口まで布団に潜る。
「ねぇ兄さん。元気になったらでいいから、その……キス、して欲しいなぁなんて」
「なんだ、今はえらく甘えるんだなぁ」
「ね、熱のせいだよ! きっと。熱が私を甘えさせてるのぉ」
「はいはい」
舞花はもっと深く潜り込む。小さな顔が半分以上隠れてしまった。そんな舞花の頭を撫でながら佐々木は微笑する。
「いいよ、約束する。舞花が覚えてたらしてやるよ」
「本当?」
「ほ・ん・と・う」
「やったぁ」
ニコニコと素直な笑みを浮かべる舞花。佐々木は頭からおでこに手を動かす。
「さぁもう寝るんだ。おやすみ」
「おやすみなさい……兄さん」
舞花が目を瞑るとすぐに気持ちのよい寝息が聞こえてくる。
「綺麗になったな、舞花」
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