真実

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『神の翼』。 あ、そうか。 すっかり忘れていた。 この本は確か、ノエルに借りていたんだったな。 ルペス村から帰った後の事だ。 ノエルの奴、半ば強制的に貸してきたんだっけか。 全く迷惑極まりない。 アイツ……。 今頃、何してるんだろう。 と、借りていた本を見ただけで、しんみりする俺。 って! 何、物思いに耽(ふけ)っているんだよ! クソッ! この短い間に、様々な事が起きたからな。 俺自身、自覚がないにしても精神的に結構キているみたいだ。 俺には今、休息が必要だ。 だが、今は眠くない。 それに、しばらくはやる事がある。 直ぐには休めないな。 事が済み、無事にニルバニアへと帰還を果たせたら、ゆっくり休もう。 とりあえず、今は暇潰しを兼ねて、『翼の神』を読んでみるか。 ダグ・フェルゼンを知る良い機会だ。 ノエルの押し付けがましい行為が、役に立った。 俺はミリアが寝る傍ら、篝火の前に座ると、『翼の神』を開いた。 その内容は……。 ――――――――――――― ――むかし むかし。 せかい が いま みたいに なる もっと むかし の こと。 せかい は。 あく に よって しはい されて いました。 ――――――――――――― 何、この内容……。 絵本らしく、子供向けの内容みたいだな。 とりあえず、続きを読んでみるか。 俺はページをめくった。
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