真実

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えーと……。 小銃はノエルに渡したからな。 恐らく小銃弾も使い切っているだろう。 小銃は完全に意味を成さなくなったと、考えておこう。 っていう事は、俺の持っている武器は拳銃だけか……。 そして、弾薬は……。 拳銃弾6発。 手榴弾1個。 …………。 お、おう……。 なんだこの貧相な装備は……。 なんとか今を乗り切れたとしても、今後はもう任務を行えないな。 ニルバニアに帰ったら、本格的に引退するとしよう。 今回の件で、レイナからありったけの報酬を貰えれば、食いっぱぐれる事はないだろう。 そして。 兵装確認が終わり、しばらく経った時。 洞窟の入り口から、光が射し込んできた。 日光だ。 その光の射線は、ミリアの顔面を照らす。 その時。 「うーん…… 朝か?」 ミリアが寝ぼけた声で聞いてきた。 「みたいだな」 俺がそれに応答すると。 「そうか カズは眠れたのか?」 ミリアは再び聞くと、目を擦りながら起き上がった。 どうやら、目を覚ましたみたいだな。 「俺は寝てないよ だが、お陰で体は休めたみたいだ」 「それは、なによりだ 私もカズのお陰でよく休めたよ」 「なら、改めて お早うさん 「あぁ、お早う」 そして。 俺とミリアは出掛ける準備を始めた。 ミリアは終始、俺に朝食を食うようにと世話を焼いてきたが、俺は丁重にお断りした。 あんな正体不明の物体を、口に含む勇気は無いからな。 気掛かりだった俺の右足は、確かに一晩経つと利く様になっていた。 普通に歩く分だと、支障はない。 白凰鳥の羽毛、恐るべし。 兵装を整える俺。 ミリアもフードを目深に被り、自らの正体を隠していた。 今から行く所は街だからな。 ミリアは、人目に見られるとマズい魔人だ。 ミリアにとって、姿を隠す行為は出掛ける上で大切な事なのだろう。 各自、準備が終了し。 「では、参るか」 「おう」 俺達は、ウルバキアに向けて洞窟を後にした。 ダグ・フェルゼンに会う為に。
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