真実

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気付くと、俺達は森を抜け人里に来ていた。 道なき道はいつの間にか、土で踏み固まれた人専用の道に変わり。 しばらく歩くと、石畳で舗装された道に辿り着く。 それからは早かった。 門が見える。 ニルバニアの物と比較すると幾分か小さいが、それでも立派な門には違いない。 俺は確信した。 ここが『小国・ウルバキア』の入り口だと。 リースから聞いた話だと、ウルバキアの国土は大きな街程度だと言っていたな。 それ国か? 国にしては小さすぎるだろ。 まぁ、このアストランでは通常の事なのかも知れないがな。 「ではカズ 行こうか」 「おう」 ミリアに言われ、俺達はウルバキアへと凱旋した。 街の中を進んで行く。 行き交う人々は、皆一様に俺達をチラチラと見ていた。 俺の迷彩服が、この世界では物珍しい為なのか……。 はたまた、ミリアの黒尽くめのローブ姿が怪しいのか……。 いずれにせよ、俺達2人は目立ってしまっていた。 素性を隠したい俺達にとって、目立ってしまう事は芳しくない。 さっさと、用事を済ませるに限るな。 ミリアも、俺と同じ事を考えていてか、心なしか早足で歩を進んでいる。 その時。 「あー、ちょっと そこの君 今、時間良いかな?」 誰かが話掛けてきた。 誰だ? 男性の声がした方向を見てみる。 そこには、なにやら制服を着用している叡人の姿があった。 察するに、警察官や憲兵とか、そんな感じの役割を担う人だ。 堅物っぽい奴だ。 「何か?」 俺に尋ねられていたので、とりあえず反応してみた。 すると。 「いえ 先日、隣国ニルバニアから、捜索届が"伝達魔法"によって届けられまして そこに記されていた特徴と、貴方の見た目が一致しているものですから…… 貴方……もしかして"カズ"さんでしょうか?」 …………。 やっべ。 早々に見つかっちまった。
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