真実

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俺の居所が、ウルバキアだとアイツ等にバレてしまうと、アイツ等はここに来てしまう。 もし、その道中にミキに急襲されでもしたら大変だ。 ミリアの懸念を考慮すると、俺はここで身分を偽る必要がある。 よし。 俺はこの叡人に嘘をつく事にした。 「い、いや…… 俺はカズじゃない」 うむ。 我ながら惚れ惚れする演技力だ。 俺の否定に、叡人は。 「ふむ……? では、貴方の名前をお聞かせ願いても?」 滅茶苦茶疑ってるじゃねぇか。 なんでだよ。 それはそうと……。 俺の名前だと……? つまり偽名か。 そんなもん、急に思い付くもんじゃねぇよ。 と、思った時。 「俺の名か? 俺は"デゼル"だ これで文句ねぇだろ? この耳長野郎」 何故かは分からなかったが、俺は自分でそう言っていた。 自分でもビックリだったが、その発言に叡人も驚いていた。 「な!? "耳長野郎"だと? 無礼者め! ちょっとギルド本部まで来てもらおうか!」 あ、マズい。 「す、済まん! そんなつもりじゃ……」 俺は必死に弁明をするが……。 「いいから来い!」 叡人は聞く耳を持たなかった。 そんな時。 「私達は急いでいるのだ 非礼は詫びているであろう? 失礼させてもらうぞ」 ナイス、ミリア! その助け舟に感謝する! と、思ったのも束の間。 「なんだ貴様! 見るからに怪しい奴め! お前も来い!」 「えぇ!?」 …………。 ミリア……。 お前の見た目も災いしたな。 これは、本格的にヤバいんじゃ……。 俺達が叡人に身柄を拘束されようとした、まさにその瞬間。 「一体何事じゃ 騒々しいのう」 新たな人物の登場だ。
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