真実

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叡人が去って行ったのを確認して、ダグ・フェルゼンはミリアと話を始めた。 「全く…… 来るなら事前に言っておいてもらわなきゃ困るんじゃがのぅ ミリアくん?」 「あぁ、済まなかったな 助かったよダグ」 「君は、自分が何者かよく知るべきじゃよ? 儂が偶然通りかかったから良かったものの…… 寿命が縮んだぞ」 「ははは! らしくない事を言うではないか! 面白い冗談だ!」 うーん? 友達というのは本当みたいだが……。 このダグ・フェルゼンが、類い希なる変人とはどういう事だ? とても、そうは見えない。 気さくな良いオッサンじゃないか。 ミリアの奴、ダグ・フェルゼンの人間性を大袈裟に下評してないか? と、思った時。 ダグ・フェルゼンは続けた。 「冗談なんかじゃないさ だって、ミリアくんは儂にとって……」 お? 「貴重な研究材料だからの」 おう……。 マジかコイツ。 平然と、なんて事を言ってやがる。 今の発言は、いくらなんでもミリアに失礼だろ。 しかし、ミリアは。 「ダグは相変わらずであるな」 あれ? 思ったより気にしてなかったか。 っていうか、慣れてるな。 「そうかの? まぁ、今回の件については、ミリアくんの髪の毛でチャラにしておこう」 「調子に乗るでない この、たわけ者め」 …………。 やべぇ……。 ダグ・フェルゼン……。 コイツ、真正の変人じゃねぇか。 怖い怖い。 こういうタイプが一番怖い。 俺がダグ・フェルゼンの発言に、ドン引きしている時。 「さて…… それで、君は誰じゃ?」 ダグ・フェルゼンは、俺に話掛けてきた。 ヒェ。
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