真実

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「あ…… えっと、俺は……」 先程のダグ・フェルゼンの会話内容に、すっかり臆してしまった俺は言葉が詰まる。 すると。 「むむぅ……!?」 たじろいでいた俺を、ダグ・フェルゼンはガン見してきた。 だから怖ぇよ。 「君は…… なにやら珍しい恰好をしておるのぅ それに、その遣い魔…… フヒヒ…… 実に面白い」 その反応はもう飽きた。 俺を初見した連中と同じ反応。 の、筈なのだが……。 ダグ・フェルゼンの目つきは、明らかに他の連中のものとは違っていた。 ただ珍しがるだけではない。 なにか、隅々まで調べあげたいという欲求の様なものを感じる。 コイツ、ガチで危ないんじゃねぇか? ちょっと、さっきの憲兵さん戻って来い。 そして今一度、誰を拘束すべきか考えて欲しい。 俺と、そしてリコも怯えていた時。 「こら、ダグ 私の友人を怖がらせるでない」 ミリアが間を取りまとめてくれた。 助かるぜミリア。 「別に怖がらせてはないんじゃがのぅ」 「その好奇心溢れる眼差しを、止めろと言っておるのだ さぁ、カズ 改めて紹介しよう この変人が私の数少ない友人の1人 ダグ・フェルゼンだ」 言ってミリアはダグ・フェルゼンを紹介した。 「ほう ミリアくんの友人じゃったか 儂はダグじゃ この辺ではダグ博士で通っておる 好きに呼んでくれて構わんぞ」 じゃあ、ダグ博士で。 ダグ博士の自己紹介を聞いて、俺もようやく自己紹介ができた。 「俺はカズだ こっちは遣い魔のリコ さっきは、助けてくれてありがとうございます」 すると。 俺の自己紹介を聞いたダグ博士は……。 「む? カズ……じゃと? そうか、君があのカズくんじゃったか! 遠路はるばるよく来てくれた!」 俺を歓迎してくれた。 しかも、俺の素性を知っている風だ。 会ったのは初めての筈だが……。 何故、俺の事を知っているんだ?
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