真実

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「あの……? 俺の事を知っているんですか?」 俺は、ダグ博士に疑問を尋ねた。 「ルペス村を醜鬼から守ってくれたんじゃろう? 姪のリースから"伝達魔法"で聞いておるぞ」 "伝達魔法"? さっきの叡人も言っていたが、恐らく"電話"に似た魔法の類だろうな。 それはそうと、ダグ博士が俺の事を知っているのはそういう事か。 俺の武勇伝が、他の国にまで知れ渡っているとはな。 悪くない気分だ。 ダグ博士は続ける。 「儂からも、礼を言っておこうかの 村を、家族を救ってくれてありがとう」 「いや、別に大した事では……」 謙遜する俺。 そう、これは謙遜だ。 大した事ではない、なんて微塵も思ってないからな。 俺は醜鬼退治に、命懸けで取り組んだ。 もっと、褒め称えろ! フハハ! なんて思っている時、ミリアがダグ博士に用件を伝えた。 「ダグ お前に用があったのは、このカズについてだ なかなか面白い奴でな 色々と身になる話ができるかと思って連れてきたのだ」 「ほう! 確かに儂もカズくんに興味がある 立ち話もなんじゃ 儂の研究所――じゃなくて家に来るがよい」 今、研究所って言い掛けたよな……。 っていうか、言っていたよな。 なんか、危ない実験の対象とかにならないか? だが、まぁ……。 ダグ博士に話を聞くのは、俺の目的でもあったし。 ビビっていても仕方ないよな。 よし。 俺は覚悟を決めた。 まぁ、ただ単に家に招かれただけなのだが……。 「あぁ お邪魔するよ」 「うむ では、付いて来るがよいぞ」 ダグ博士は街の中を歩き始めた。 それに、俺とミリアはついて行く。 その時はまだ、知る由もなかった。 そこで、とんでもない真実を知る事になるとは。
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