真実

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その家は、寂れた場所に立地していた。 街を歩いてきた時に、様々な民家を見かけたが。 ダグ博士の家は、そのどの民家と比較しても明らかに浮いていた。 特徴と言えば、植物の蔦(つた)が、至る所に絡みついている家。 うまく表現できないが、とにかく怪しかった。 「さぁ、遠慮せずにあがってくれたまえ」 「お、お邪魔します」 ダグ博士に招かれ、俺とミリアはその家に進入した。 「茶でも淹れよう その辺に座って、待っておいてくれ」 「お、おう」 言われるがまま、俺は椅子に座る。 ふと、周辺を見てみると。 そこには、魔物の骨や素材が散乱していた。 壁には、あらゆる種類の杖が飾られており、机の上に至っては正体不明の液体が瓶に入れられ放置されている。 あ、怪し過ぎるぜ……。 「ダグの趣味は相変わらずであるな」 俺の隣に座ったミリアは、そんな光景を見ても、慣れた様に呟いていた。 「低俗な連中には、この至高の研究が理解できん様でな 全く嘆かわしい事よ」 そう言いながら、ダグ博士は茶を4つ持ってきた。 どうやら、俺達が部屋の中を見物している間に、茶の準備が終わったらしい。 っていうか、なんで4つ? と、思った時。 ダグ博士は、机を挟んだ俺とミリアの対面に座ると、その4つの茶を配りだした。 先ず、ミリア、次に俺、最後にリコ。 そして、自分の分。 あ、そういう事か。 茶を4つも用意している理由が分かった。 リコの分まで、用意していてくれたんだな。 だが、悪いな。 リコは機械だ。 茶なんて飲まんぞ? なんて言える筈はないが、適当に断っておくか。 「ダグ博士 わざわざ用意してもらってすみません リコは飲食できない魔物なんだ」 それを聞いたダグ博士は……。 「なんじゃと? それは奇なる魔物じゃな……」 目をキラキラさせだした。 あ、やっべ。
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