真実

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飲む。 うん! 不味い! 相変わらずか。 どうもこの世界の食い物は、俺の口に合わないな。 まぁ、喉を潤せただけで良しとしよう。 「おぉ……! これは、凄い特技じゃ!」 「あぁ、恐れいったぞ 一体どんな原理なのだ?」 リコの分析に、ダグ博士とミリアは驚いていた。 いちいち説明するのも面倒なので、俺は話題を変え、本題へと移る事にした。 「そんな事より 実は俺がここに来たのには、ある目的があったんですよ」 「はて? それは一体どんな目的じゃ?」 ダグ博士の返事を確認して、俺は概要の説明を始める。 「レイナという人物をご存知ですか?」 「レイナ? まさかとは思うのじゃが…… ニルバニアの時期王女様 レイナ・ニル・バニッシュ の事ではあるまいな?」 「そのまさかです」 「なんと……! それで? レイナ様とカズくんの目的にどの様な関係があるんじゃ?」 「俺はレイナに言われて、ダグ博士に会いに来たんです」 「レイナ様に? 一体何故じゃ?」 「それが…… 実は俺もよく分からないです」 「と、言うと?」 「レイナが言うに…… "カズの知りたがっている事を、ダグ・フェルゼン氏が知っている" と、言っていただけで……」 「ふむ? ならば、カズくんは何を知りたがっておるんじゃ?」 「それが分からないんです」 そう。 俺の目的はダグ博士に会う事だけだった。 その理由は、俺自身もよく分かってはいなかった。 ダグ博士に会えば、取りあえず何かが分かるかもと、安易な気持ちで訪ねてみたが……。 冷静に考えると、ダグ博士からしても意味不明だよな。 「ふむ……? なかなか、難しい事を言うのぅ…… カズくん自身が分からない事は、儂にも教え様がないからのぅ」 ごもっともだ。 だが、ここまで来て引き返せないし……。 「何かありませんか? 最近調べている事とか?」 無茶を承知で、色々聞き出してみる俺。 するとダグ博士は。 「むぅ…… 最近はラロ遺跡ばかり調べておるんじゃが……」 とあるキーワードを持ち出した。 「ラロ遺跡?」 「うむ そういえば、そこから奇妙な素材で作られた石板が発掘されてのぅ なにやら文字らしきものが書かれておるのじゃが、一向に解読できず困っておるのじゃ 何かを知りたがっておるのは、儂もカズくんも同じじゃな」 ん? 石板? 文字? 解読? 気になるな……。
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