真実

44/74
前へ
/805ページ
次へ
俺の要求にダグ博士は。 「そうか! その手があったか! 直ぐに持って来よう! ちょっと待っておってくれ!」 張り切って受諾すると、慌ただしく家の奥へ姿を消した。 ダグ博士が席を外している間。 「フフッ 歳の割に良く動くものだ 研究に夢中になると、いつもあんな感じなのだ」 ミリアは微笑ましく笑っていた。 「なんだ? 楽しそうだな」 「まぁな 友人が楽しんでおるのは結構な事だ あんなに真剣じゃなければ、私もダグの頼みなど聞かなかっただろう」 「そうか」 ミリアとダグ博士は、見た目こそ"孫と爺"だが、本来は歳の近い友人なんだよな。 仲が良いのは結構な事だ。 しばらくして、再び慌ただしくダグ博士が戻って来た。 手には、A4サイズ程の大きさの石板を持っている。 厚さはそれなりにはある様だが、老人でも持てる程の重さらしい。 ダグ博士は石板について、説明を始めた。 「この石板が見付かった洞穴からは、太古の遺産も多数発掘されておる この石板に彫られている文字が解れば、何故ラロの民が滅亡したのかも分かるかも知れんのじゃ」 なるほど。 つまり、ラロの連中が修復させようとした、太古の遺産とやらが分かれば、太古の事も分かるかも知れないと。 そういう事か。 「任せて下さい リコなら解ると思います」 「頼んだぞ!」 言って、ダグ博士はその石板を俺に手渡してきた。 それを受け取る俺。 リコに解読させる前に、どんな文字なのか俺も見ておこう。 まぁ、解る訳はないんだがな。 そんな事を思いながら、俺は石板に彫られている文字を確認してみた。 そして……。 「――――!!」 俺は絶句した。 リコに解読させるまでもない。 だって、そこに記されていた文字は…………。 "日本語"だった。
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加