真実

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は? ちょ……。 え? いやいやいや……。 見間違いかと思い、何度も見直してみる。 が。 それは見間違え様もなく"日本語"そのものだった。 何故、日本語が異世界にあるんだ!? やべぇ……。 なんか、手が震えてきた。 動揺を隠せ切れていない俺を見て、リコも石板を見てきた。 「どうされたんですかマスター? 大丈夫ですか?」 そして。 「こ、これは……」 リコも日本語に気が付き、言葉を詰まらせる。 「何がどうなってる?」 極力冷静を装い、リコに尋ねてみると。 「わ、分かりません…… ですが、この石板の成分…… 間違いなく"コンクリート"です このアストランには存在しない物質ですよ」 マジかよ……。 つまり、正真正銘の地球にあった物体って事じゃねぇか……。 なんで……。 なんで……。 俺はずっと困惑していた。 その間、ダグ博士とミリアは。 「しかしダグよ 何故"意志疎通魔法"の『会話』を使わないのだ? それさえ使えば容易に解読できただろうに」 「儂に魔術は使えんのじゃ 魔術を使ってくれる友人もおらんしのぅ」 なにやら、どうでもいい事を話していた。 俺の動揺には気が付いていなかった。 分からない事は聞くに限る。 でないと、分からないままだ。 俺は、覚悟を決めて尋ねてみた。 「あ、あの…… ダグ博士 アナタ達が言う"太古"ってのは、どんな所なんですか?」 「なんじゃ? その文字が使われていた時の事が知りたいのかの?」 「え? えぇ、まぁ……」 「まぁ、儂も詳しくは知らんのじゃが…… 随分と酷い世界じゃったらしい」 「何故、そう思うんですか?」 「発掘された太古の遺産を調べる内に、様々な事が分かったのじゃ 推測ではあるが そんな劣悪な惨状を正した神の存在 そして、その神によって引き起こされたとされる出来事 それらは、世間に分かり易い様に『翼の神』という絵本にまとめてあるぞよ 絶賛発売中じゃ!」 露骨なマーケティングはいい。 それよりも、あの絵本が太古に起きた出来事を、モチーフにしているだと? って事は……。 つまり……。 俺が、ある結論に辿り着こうとした時。 ダグ博士は続けた。 「分かっている事は"ニホン"という国名だけでな 太古の民族は皆一様に、"闇"をその身に宿しておっての 儂は"ヤミビト"と呼んでおる」
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