真実

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ダグ博士のその発言に、ミリアは反応した。 「そういえばダグよ カズの故郷も"ニホン"という名らしいぞ? 太古の地名が、月日が経っても使われておるのだな」 昨日、俺はミリアに、自分の故郷が"日本"だと言っていた。 どうやらミリアは太古の地名と、同名の地名がアストランにあると思ったらしい。 が。 「ふむ? ニホンとな? それはおかしいのぅ アストランに"ニホン"なんて地名は存在せぬぞ?」 ダグ博士は矛盾を指摘した。 「え? しかしカズは、故郷の名を確かに"ニホン"と言っておったぞ?」 おい、ミリアやめろ。 話を掘り下げないでくれ。 俺は真実を知るのが恐いんだ。 ミリアの発言に、ダグ博士は真剣な表情をして俺を見た。 そして、ある確認をしてきた。 「まさかとは思うが…… カズくん 君の魔力は"闇"ではなかろうな?」 なんで、それを聞くんだよ。 知らねぇよ、そんな事。 「さ、さぁ……?」 俺がシラを切ろうとすると。 「おぉ! ダグ、よく分かったな! カズの魔力は珍しい"闇"属性だ "魔木の枝"を使って調べたからの 間違いないぞ」 ミリア……。 テメェ、空気を読め。 ダグ博士のさっきの話を聞いただろ? 劣悪な世界だった太古の地名には"ニホン"なる国名があり、太古に住んでいた連中は"闇"を宿していた、とな。 そんな事を言うと、まるで俺が太古の連中と接点があるみたいじゃねぇか。 冗談じゃないぜ。 冗談でも、笑えねぇ……。 手の震えは未だに収まらねぇし……。 そんな俺に構わず、ダグ博士は聞いてきた。 「カズくん…… ひょっとすると君は、この太古の文字が読めるのかの?」 聞いてきたという割には、確信を持った聞き方だ。 …………。 クッソ……。 いい加減に、ガチで覚悟を決めるか。 でないと、心が保たない。 「あぁ」 俺は肯定をした。
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