真実

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俺がラロ遺跡までの、案内を頼んだ時。 「まぁ、そう急ぐでない 少し話そう」 ダグ博士はそう言ってきた。 まるで、俺を宥める様な言い方だった。 ダグ博士は続ける。 「先ずは謝らせてくれ カズくんがどうやって、アストランまで来たのか分からんのじゃが…… 君の居た時代で、何が起きたのかは理解しておる 絵本の内容が無神経じゃった 申し訳ない」 あー、それな。 でも、大凡間違った事は書かれていない。 事実を脚色して、ある事ない事を好き勝手に書いていたのだとしたら、流石に気にしたかも知れないが……。 そんな、どうでもいい事は俺は気にしない。 だが、ダグ博士が自責の念に苛まれているとしたら、それを利用しない手はない。 後で利用させてもらうか。 「いや別に気にしていない」 「じゃが、それでは儂の気が……」 チッ……! 話が進まねぇな。 だったら。 「サインをくれたら許す アンタ有名人なんだろ? これに書いてくれ 俺の仲間がアンタのファンなんだ」 言って俺は、ノエルから借りた『翼の神』をダグ博士に渡した。 ノエルの奴、喜ぶだろうぜ。 俺の申し出が意外だったのか、ダグ博士は戸惑っていた。 「そ、それは構わんのじゃが カズくん? 何か喋り方が……」 「あ? それで許してやるって言ってるだろ さっさとしてくれないか」 ダグ博士が何か言っていたが、俺は催促する。 「分かった」 そして、ダグ博士は『翼の神』にサインをしてくれた。 「ほれ」 俺はそれを受け取る。 よし、やっと話を進めるな。 「じゃあ、話をしようかの この世界を創造した神"ニルヴァーナ"について」 ニルヴァーナか……。 俺にとっては、嫌な存在だよな。 だって。 「あぁ、話してくれ あの"化け物"についてな」
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