真実

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俺がどうやって、この時代に来たのか……か。 そんな事、俺だって知らない。 だが、俺をこの時代に連れて来た奴なら知っている。 俺は、その事をダグ博士に伝えた。 「理由は分からない が、俺はニルヴァーナによって連れて来られた」 「なんじゃと!? 一体、どういう事じゃ!?」 「あの時の事はあまり覚えていない 詳しくは知らないが、ニルヴァーナのかざす手から光が発せられ、俺はそれにのまれた そして、気付いた時には、この時代に来ていたんだ」 「神の業か…… じゃが、ニルヴァーナの目的は何じゃ? 他に、何か思い出せんのか?」 うーん……。 そんな事言われても、あの時は滅茶苦茶怖かったからな……。 覚えている事と言えば。 「そういえば "人間が世界にとって、本当に無害なのか確かめる" とかなんとか言っていたな」 「"人間が世界にとって無害かどうか"……じゃと? むぅ…… よく分からんな」 「だから言っただろ 理由は分からないってな」 さて、話は終わったな。 「もう話す事はない さぁ、俺をラロ遺跡に連れて行ってくれ」 再び頼んでみた時。 「だがカズ 右足は大丈夫なのか? まだ、完治はしておらぬ筈だぞ?」 ミリアが、俺の怪我具合を心配していた。 「怪我?」 ミリアの発言に、ダグ博士も反応する。 「あぁ 実はカズとは昨日、出会ったばかりでな 大量の魔物共に襲われていたのだ 私が助けたのだが、足を既に負傷しておってな どうやらミキの差し金らしい」 「ミキに……? 一体何故じゃ?」 「それが――」 話が進まねぇな。 ミキに襲われた原因は、俺が餓鬼を殲滅させる程の力を有していたから。 ミキはそれを脅威と捉えた。 だから、俺を殺しに来た。 そういう話はもう、ミリアとした筈だ。 今更、再確認する暇はない。 ダグ博士とミリアの会話を、俺は遮った。 「そんな事はどうでもいい 足ならもう大丈夫だ ラロ遺跡に連れて行く気がないなら、俺1人でも出発するぞ」
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