真実

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"タモサン"も自衛隊の支給品の一つだ。 つまり、リコと同型の携帯端末機だ。 こんな物まで発掘されていたとはな……。 昨日、ミリアがリコの事を見た事があるとか、言っていたが。 なるほど。 ミリアはこの古びたタモサンを見ていたから、リコの姿に既視感を覚えたって訳か。 それはそうと、タモサンの中には何か情報が入っている筈だ。 そう思った俺は、早速リコにタモサンを解析させる。 「リコ 何か情報を取り出せないか?」 しかし。 「申し訳ございませんマスター さっきから解析を試みてはいるのですが…… 劣化が激しく、内部データの修復は不可能です……」 残念な事に、リコの解析力を以てしても、タモサンから情報を取り出す事は不可能だった。 流石に1000年だからな……。 無理もないか……。 俺が困っている時。 「何じゃ? 何か気になる物でもあったのかの?」 ダグ博士が話し掛けてきた。 「あぁ ちょっとな コレが直せたらと思っただけだ」 言って、俺はタモサンをダグ博士に見せた。 するとダグ博士は。 「この物が気になるのか? そうじゃのぅ…… ラロの民が用いたと言われる"修復"が使えれば、ある程度は元通りになると思うのじゃが……」 とある提案をしてきた。 "修復"か……。 確か"回復魔法"に分類されている、珍しい魔術だとウォーレンが言っていたな。 ついでに、ラロの民が滅んだ元凶となった魔術でもある。 ラロの民は、全て全滅したって話だしな。 もう"修復"を使える奴は居ないだろうな。 だが、万が一という事がある。 一応聞いてみるか。 「もうこの世界には、"修復"を使える奴は居ないのか?」 「いや……」 え? ダグ博士の意味深な反応に、食いつく俺。 「居るのか!?」 「"修復"を使えるかどうかは定かではないが…… 確か、ラロの民の末裔が、ニルバニアに住んでいた気がするんじゃが……」 オイオイ、マジかよ。 聞いてみるものだな。 「ソイツの名前は!?」 「名前は知らないのじゃが…… ラロの民は、皆一様にある特徴を有しておってな 末裔にもそれが反映されておるかも知れん」 ん? 「ある特徴?」 ダグ博士の言葉に、俺は耳を疑った。 「瞳の色が緑色なんじゃよ」
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