真実

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ウルバキアから発つ時、門の所までダグ博士は見送りをしてくれた。 そのお陰なのか、俺とミリアの浮いた恰好を不審に思い、先程の叡人みたいな連中が近寄って来る様な事はなかった。 ダグ博士が有名人で助かったな。 「じゃあな」 「あぁ 今度はカズくんの、仲間も連れて来たまえ まだまだ、話したい事はあるからのぅ」 「分かったよ 近いうちにな」 門の前で、再び別れの挨拶をして俺とミリアはウルバキアを後にした。 しばらく進む。 来た道を戻る様にして、進んで行く。 周りの景色も、徐々に緑が濃くなっていき、あっという間に森の中だ。 その道中。 「しかしカズ やっぱりお前は面白い奴だな」 ミリアが唐突に、そう言ってきた。 何の事だ? 「なんだよ突然」 「気付いておらぬか?」 だから、何をだよ。 「何が?」 「カズ お前、途中からダグに対しての言葉遣いが変化しておったぞ?」 は? 「そうだったか?」 「うむ 最初こそ丁寧だったが 途中から、まるで人が変わったみたいに喋り方が豹変したのだ 分からなかったか?」 うーん……。 そう言われてみれば、そうかも知れないが……。 あまり気にしなかったな。 衝撃的な真実を知ってしまったから、言葉遣いにまで気が回らなかったんだな。 「気が動転していたからかな あまり気にしなかった」 「叡人の男に暴言も吐いていたな あれは傑作だったぞ」 あー、それな。 あれは、何であんな事を言ってしまったのか俺でも分からない。 まぁ、過ぎた事だ。 気にする必要はないだろう。 「普段ならあんな事言わないんだがな まぁ、余計な問題を生まない為にも今後は気を付けるよ」 「私としては、やってくれて大いに構わぬのだがな あれはなかなか面白いものだった」 「そうかよ でも俺は平和主義だ 面倒事に巻き込まれるのは御免だね」 「フフフ…… 冗談だ」 そんな感じで、なんやかんや喋りながら進んで行った時。 生い茂る木々の中から、その光景に似つかわしくない朽ちた建造物が見えてきた。 まさか、あれが……。 と、思った時。 「着いたぞ ここが"ラロ遺跡"だ」 ミリアの発言を聞き、確信した。 やはりか。
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