真実

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"毒"だと? しかも"大変危険"とまで言ってるし……。 なるほど。 この毒の影響で、魔物がこのラロ遺跡に近付かない訳か。 だが、朱剛蜴だって毒を吐いてたぞ? つまり、毒に耐性のある魔物も居る筈だ。 やっぱり、このラロ遺跡に魔物の気配がしない事には違和感を感じる。 つまり、それ程までに危険な毒なのか? 「一体どんな毒なんだ?」 俺は、ミリアとリコに尋ねた。 すると、先ずミリアが答えてくれた。 「毒の成分は分からぬが…… 他の魔物も近寄れん程、危険な毒なのだ 私は体質上、ある程度の耐性は有しておるのだが それでも長時間の滞在は避けたい それ程、ここに充満する毒は危険なのだ」 ふむ……。 気になった事から、聞いていくか。 「ひょっとして、ニルヴァーナが滅ぼした事と関係あるのか?」 「いや、その可能性は低いだろう」 「何故、そう言い切れる?」 「この毒はな この先にある"洞穴"から噴出しておるのだ 幾何学的な形状をしておる、奇妙な洞穴でな ダグ曰わく、太古の建造物ではないかとの事だ」 太古の建造物だと? そういえば、太古の物体も、毒が充満している洞穴から発掘したんだっけか? なるほど。 元々この地にあった洞穴だから、ニルヴァーナが滅ぼした事によって生じた毒では無い訳か。 しかし、だとするとラロの民はこの毒をどうやって処理していたんだ? 「ラロの民はよく無事だったな」 「まぁ、ラロの民は奇妙な魔術を幾つか使えていたからな 元来あの洞穴は、強い魔術によって封印しておったらしい だが、好奇心が旺盛の連中でな "防護魔法"で身を固めた後、時々洞穴の中に入っては、太古の遺産の修復をしておったらしい」 「なんというか、救い様のない連中だな」 「まぁ、実際救えなかったしな」 毒の在り方は分かった。 つまり、太古――俺の居た地球の時代から発せられた毒という訳か。 問題はその毒の正体だ。 あらゆる生物を拒絶する、凄まじく危険な毒って一体何なんだよ。 リコの出番だな。 「リコ 毒の成分分析はできたのか?」 「はいマスター! 毒の正体が判明しました 確かにこれは危険な毒です」 流石、仕事が早くて助かる。 「どんな毒だ?」 俺が尋ねると、リコは毒の正体を答えた。 と、同時に衝撃的な見解を述べる。 「"放射能"です 恐らく、"核"が使用されたのかと……」
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