真実

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放射能……だと? マジかよ……。 俺が転送された後でも、ニルヴァーナとの戦いが続いていたのは知っていた。 が、遂に核兵器にまで手を出してしまっていたのか……。 そこまでする程、人間が追い込まれていたという事か。 しかも1000年経った時代にまで、その影響が及んでいる。 一体、どれほどの量の核を使ったんだ? よく地球が崩壊しなかったな。 だが、得心はいった。 確かに、毒の正体が放射能なのならば魔物は近寄らない。 「む? 聞いた事もない名称だな "放射能"とはなんだ?」 ミリアは当然知らないみたいだな。 まぁ、俺だって詳しくは知らないが。 どえらいヤバいモノだって、認識くらいはある。 つまり。 「人間があみ出した 史上最強の兵器だよ」 「おかしな事を言うな…… 人間が毒を生み出したのか? そんな事が果たして有り得るのか?」 おっと。 ミリアがとんでもない勘違いをしている。 「別にミリアみたいに、口から吐き出した訳じゃない 科学の力で、作り上げたんだ 何れにせよ、危険なものに違いはない」 「ふむ、太古の人間が用いた業という事か なるほど しかし、どうするのだ? どのみち、カズはこの先には進めぬぞ?」 そうなんだよなぁ……。 流石に、汚染地帯に生身で行く訳にはいかない。 そう、生身ならな。 人間には技術がある。 危険なものを生み出した時、予めそれに対する策を講じるのは当然の事だ。 当然、放射能を無効化させる為の手段も幾つかある。 俺には、その内の一つが装備品として支給されていた。 「大丈夫だ これで問題ない」 言って俺は、ガスマスクを装着した。 このガスマスクは、あらゆる有害物質を無効化させる程の超精密に造られている。 放射能だって例外ではない。 ついでに、迷彩服にも防毒処理が施されている。 俺は万全な装備を整え、前に出た。 「さぁ、コホー 行こうか コホー」 でもこれ、呼吸音うるさいな。
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