真実

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俺のガスマスク姿を見たミリアは。 「なんという面妖な…… そんな仮面を身につけるだけで、本当に毒を防げるのか?」 異様さを感じたと同時に、機能面も疑っている様だ。 そんなミリアとは対照的にリコは。 「その手がありましたか! 流石です! マスター!」 俺の行動が、理に適っている事を示した。 リコの発言も借りて、俺は簡単にミリアを説得した。 「大丈夫だよ これは、そういう物だ 太古の技術力を侮るなよ?」 「そうか まぁ、カズとリコがそう言うのなら大丈夫なのだろう では、参ろうか」 よし。 なんとか納得してくれたな。 そして俺達は、ミリアの案内によってようやくラロ遺跡の奥地へと足を踏み入れた。 進むに連れ、草木が枯れていっているのが分かる。 徐々に、確実に、歩を進める度に周辺の緑は、茶色へと変わって行く。 これが放射能の影響か。 もはや、ここら一帯に"生"を感じるものはなかった。 そして。 「ここだ」 案内していたミリアは、とある場所を指差して立ち止まった。 「ここがそうなのか?」 見ると、そこは地面が陥没していた。 その洞穴を覗き込んでみたが、中は真っ暗闇。 まるで深淵かと見間違う程、その中は黒一色だった。 底は結構深いみたいだな。 だが、何度かミリアが潜った後なのか、洞穴には降りる為の道が瓦礫で形成されていた。 降りるのに苦労はしなさそうだ。 俺はミリアに再確認をした。 「これが、太古の物が発掘されたっていう洞穴か?」 「そうだ 元々、この洞穴の上にはここから流れ出る毒素を封印するための社が建っておったらしい が、ニルヴァーナの怒りで、社諸共消し飛び、洞穴だけが露わになったのだ」 「へぇー そんな背景がねぇ」 どうやら、目的地の洞穴で間違いないみたいだな。 「じゃあ、入ってみるか」 「分かった 足元に気を付けるのだぞ」 言って、ミリアは右の手のひらから小さな火を出した。 どうやら、ライトの代わりらしい。 便利だな、それ。 そして俺達は、その洞穴へと下って行った。
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