真実

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洞穴に入り、先ず感じた事は。 周りが暗い。 なんて、分かりきった事ではない。 俺が感じたのは、地面の感触だった。 なんだ……? 床が硬い……。 土では無さそうだ。 が、石でもないな。 なんというか、平ら過ぎる。 まるで、人工的に整えられた造りみたいだ。 そういえば、ダグ博士の見解だと、この洞穴は太古の建造物との事だったが……。 だとしたら、それはなんだ? ミリアの火があるとはいえ、周りが暗すぎてよく分からない。 仕方ない。 リコの内部電源をかなり消費する事になるが、光を照射してもらうか。 と、思った時。 「この洞穴は妙でな どこまで広がっているのか分からぬのだが、崩落せぬ様に各部に強靭な柱が立てられておるのだ カズなら、ここがどんな場所だったのか知っておるのだろう? 確認して見るがいい」 ミリアはそう言って、火を発している右手を前に突き出した。 そして、続ける。 「"魔人術"『照火球』」 すると、ミリアの手のひらから発せられていた火は、球となり空中に漂った。 ミリアはその火球を意のままに操れるらしく、手を振るった。 すると火球は、洞穴内で一番高い場所に位置する。 そして、その火球は眩いばかりの光を発した。 さながら、小さな太陽といったところか。 「便利な魔術だな」 「魔術とは使いようだ」 大したものだな。 まぁ、お陰で周りがよく見える。 どれどれ……。 俺は洞穴内を確認した。 「――!!」 そして、直ぐに認識した。 ここがどこなのかを。 損傷が激しいが、その面影は確かに残っていた。 「マスター…… ここは……」 リコも気付いたか。 「あぁ、 ここは"地下鉄のホーム"だ」
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