真実

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内側から鍵がかけられているだって? いくらなんでも、それはないだろ。 もしそうなのだとしたら、ヒトマルの中に誰かが居る事になるんだぞ? こんな放射能塗れな場所で、ヒトマルの中に籠城してる奴なんか居やしねぇよ。 だが……。 もしも、本当に内側から施錠されているのだとしたら……。 ヒトマルのハッチが開かない事への、説明はつく。 念の為に確かめてみるか。 そう思った俺は、リコを使った。 「リコ 何か感じないか?」 リコならば、レーダー装置をうまい具合に使って透視ぐらいはできると思うからな。 俺の呼び掛けにリコは答えた。 「いえ、マスター 戦車内部から、生体反応は検知できませんでした」 ふむ……。 分かってはいたが、やはり中には誰も居ないか。 「ご苦労」 まぁ、どのみちミリアの"酸"に頼らざるを得ないみたいだな。 俺は再びミリアに頼んでみる。 「ミリア やはり酸を使わないと、開けられないみたいだ」 「その様だな 分かった 少し下がっていろ」 言って、ミリアは右手のひらをハッチに押し付けた。 そして、続ける。 「"魔人術"『酸汗』!」 すると突如、焼けた石に水をかけた様な、ジュウジュウという音が響いた。 と、同時にミリアの押さえつけている手のひらから、黄色い煙が立ち上る。 見ると、ハッチが炙られた蝋燭の様に溶けていた。 凄まじいな。 っていうか、技名からして、それ汗なのかよ。 なんて突っ込んでいる間に、とうとうハッチは無くなり、ヒトマルの中が露わになった。 「さぁ、済んだぞ」 「すげぇな 助かったよ」 「気にするでない それより、中を見てみろ」 ん? 開けたハッチから、ヒトマルの内部を確認したミリアは、早々に何かを見つけた様だ。 ミリアに言われるがまま、俺もヒトマルの中を見てみた。 すると、そこには……。 「なんなんだ? コイツは?」 俺達が見たもの。 それは、1体の白骨化した人の亡骸だった。
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