真実

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死体か……。 ミリアの推察通り、中に誰かが居たのは事実の様だな。 死後、かなりの年月が経過している。 素性はなんだ? ヒトマルの中に居たって事は、自衛隊員か? いや……。 それにしては、違和感がある。 先ず服装が軍服じゃないし、1000年前の死体にしては形が成してある。 なんなんだコイツ? 俺はその死体の解析をリコに頼む。 「リコ 調べてみてくれ」 「了解ですマスター! ふむふむ 解析の結果…… この死体ですが、死後約100年が経過してますね 服装の生地についてですが、このアストランに存在する物で作られているみたいです」 ん? 「って事は、コイツは」 俺はこの死体の素性について、アストランの住人であると判断しかけた時。 「こやつは…… ラロの民みたいだな」 ミリアは更に、詳細な判断をしていた。 確かに、場所がラロ遺跡だという事を鑑みるに、その判断は正しいのかも知れない。 が、問題は。 「そうかも知れないな だが、何故コイツはこんな所で死んでいたんだ?」 「それは流石に分からぬが…… まぁ、この戦車とやらの修復中に、ニルヴァーナの急襲を受けたと考えるのが妥当であろうな 咄嗟に戦車内部に入ったが、防毒魔法が切れて、充満している毒で死に至ったのだろう」 おぉ……。 なんかそれっぽい。 ミリアの推理に俺は、納得した。 納得したのだが、やはりこの死体の行動には不可解がある。 っていうか、そもそもなんでラロの民は戦車を修復させようとしていたんだ? 好奇心満載な連中との事だったが。 放射能が充満している危険地帯にまで、わざわざ侵入して修復魔法をかけるなんて正気じゃねぇぞ。 ご丁寧に洞穴真上にまで社を立てて、取り組み様が尋常じゃない。 「コイツの目的はなんだったんだ?」 俺がつい声を漏らすと。 「アレを見てみれば分かるやも知れぬぞ?」 と、ミリアが反応して、死体の手を指差した。 いや、正確には死体の手に握られている紙切れだ。 紙切れは開かれており、面が見えた。 そこには、何やら奇妙な模様が描かれていた。 「あれは?」 「私がこの死体をラロの民と確信した所以だ あの紙切れに描かれておるのは、ラロの民特有の術式なのだ "意志疎通魔法"『残留思念』が込められておる」 「"残留思念"?」
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