真実

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ラロの民が遺した言葉は、極めて異質な内容だった。 ―――――――――――― 嗚呼……。 神よ……。 太古の先人が生み出せし禁忌に触れた、愚かな我々をお許し下さい。 しかし、何故だ……。 何故なんだ……。 太古の遺産を復活させる事は、"あのお方"のご意志だった筈。 我々の先導者である"あのお方"は、この事態を予測できなかったのだろうか? いや、よそう。 疑念を抱く事は、我々の"あのお方"に対する忠誠を汚す行為になりかねない。 きっと、この事態こそがあのお方が望まれた事なのだ。 我々を神の供物として捧げる事に、何かしらの意味があったのだ。 "あのお方"の至高なるお考えを、我々末端の民が知る由もないが、それを知る事自体烏滸がましい事である。 ならば、我々はこの事態を受け入れよう。 その咎を甘んじて受けよう。 神の怒りに干渉する程の意味があると、信じて……。 そう、全ては我が主……。 "ミキ様"の為に……。 ―――――――――――― …………。 なんだこの内容……。 "ミキ様"って奴が登場したが、確かミキって"獣の王"だったよな。 文脈から察するに、ラロの民はミキを信仰していたのか? だとしたら、ミキって年齢幾つだよ。 分からない事だらけの内容だったが。 ただ一つ分かった事がある。 それは、ヒトマルの修復を指示したのがミキだという事。 ミキの奴、一体何が目的だったんだ? 俺が考えている時。 「なるほど…… そういう事だったのか……」 ミリアは何かを理解した様子だった。 「何か分かったのか?」 俺が尋ねると。 「まぁな 私はな、ラロ遺跡の話をダグから聞く度にとある事をずっと考えていたのだ」 どうやらミリアは、ラロ遺跡について以前から自分の考えを抱いていたらしい。 それが、この残留思念を見て確信へと変わったみたいだ。 その考えていた事、っていうのは何だ? 「ある事?」 「ラロの民を、良からぬ方向へとそそのかした何者かの存在についてだ」 ふむ。 ラロの民滅亡に関する、第三者の介入についてか。 って、それって……。 「そそのかした? まさか……」 「あぁ そのまさかだ ラロの民を滅亡へと誘ったのは、獣の王ミキだ」 なんだと?
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