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ミキがラロの民を滅亡させた黒幕だと?
待て待て。
何故そんな事をしたんだ?
それに、もしそうだとすると、ミキはヒトマルの価値を知っていた事になる。
っていうか、ミキが崇められていた理由も謎だ。
分からない事だらけだな。
俺はミリアに、順に説明を求めた。
「そもそも何でミキは、ラロの民に崇められていたんだ?」
「ラロの民は古くから"獣の王"を称える風習があったらしいのだ
例え最弱の魔物である灰子だとしても、それが"獣の王"ならば、忠誠を誓い、服従し、付き従う事を厭わなかったと言われておる」
ふむ。
まぁ、風変わりな連中だったらしいし、森の魔物共を統べる"獣の王"の存在は看過できなかったのだろう。
ラロの民にとってミキの在り方は分かった。
じゃあ次だ。
「ミキは何故そんな連中を騙して滅亡まで追い込んだんだ?
ミキにとって、ラロの民は家来みたいなものだったんだろ?」
「そんな事は容易に想像がつく
言ったであろう?
ミキは異様に"人"を嫌っておるのだ
恐らく、自分を崇める連中だったとしても、それが"人"である以上、ミキにとっては煩わしい存在でしかなかったのだろう
だから、ニルヴァーナを利用して滅亡させたのだ」
ふむ。
人嫌いが過ぎる故か。
ミキの動機も分かった。
後は……。
「何故ミキはヒトマルの修復が、ニルヴァーナの怒りに触れる事を知っていたんだ?
ヒトマルは俺の居た時代の物だ
ミキには価値すら分からない筈だろ?」
その問いにミリアは。
「ふむ……
確かに、それは謎だな」
ミリアも分からなかったみたいだ。
「ニルヴァーナが、ヒトマルの復活を阻止した理由に関係があるのかもな」
「まぁ、そこは神のみぞ知る領域だ
問題は、ミキがニルヴァーナの行動と、戦車の価値を把握していた事にある
何れにせよ、ミキには色々話を聞かねばならぬ様だ」
そうか。
ミリアは元々、ミキを殺す気でいたな。
会う事には変わりないのだから、その時に色々と聞き出そうという魂胆か。
…………。
そうだな……。
ミキ自体に危険性はないだろうし、もし魔物共をけしかけられてもミリアが居るなら幾分か安心できる。
俺もミキの話す事に興味がある。
よし。
俺は決意して、その旨をミリアに伝えた。
「ミリア
俺もミキに会わせてくれ」
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