真実

73/74
前へ
/805ページ
次へ
俺の申し出にミリアは。 「カズをミキに会わせるだと? 利口とは言えないな ミキはカズを殺そうとしたのだぞ?」 快諾とはいかなかった。 そりゃそうか。 ミキにとって俺は、忌むべき存在だ。 俺の申し出は言わば、わざわざ殺されに出向く様なものだしな。 ミリアが快く思わないのも無理はない。 だが、"虎穴に入らずんば虎子を得ず"だ。 リスクを恐れていては、何も得られない。 ミキが何かを知っているのは確かだ。 しかもそれは、俺自身に関係のある事の様な気がしてならない。 俺はミリアの反対意見を逆に利用した。 「確かにそうだが だからこそ、ミキの奴に一言ぐらい言ってやりたくてな」 「ふむ しかし、もしもの場合カズを守りきれるとは限らぬぞ?」 「まぁ、その辺はあまり気にするな 自分の身は自分で守るくらいの気構えでいるよ」 「説得力がないぞ? 死にかけていたカズが何を言っておる」 「同じヘマはしないさ それに、ミリアを1人で行かせる程、俺は薄情じゃない」 その言葉にミリアは。 「なに? な、なかなか紳士的な事を言うではないか ま、まぁカズがそこまで言うのなら仕方ないな」 お。 「ミキの所に連れて行ってくれるのか?」 「あぁ カズには折れたよ」 よし。 これで、ミキから色々と聞き出せる。 まぁ、ぶっちゃけ話を聞くのは二の次だ。 本音を言えば、ミキを俺の手でぶっ殺したい。 ラロの民の仇。 そんな事はクソくらえだ。 俺には個人的な怨みしかない。 俺を魔物共に襲わせた事を、後悔させてやる。 待っていろよ、クソネズミ。
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加