真実

74/74
前へ
/805ページ
次へ
さぁ、そうと決まれば殺し方に悩むな。 一撃で殺してやる事もできるが、それでは面白くない。 先ず俺が負った右足の骨折と同等の痛みを味わってもらう。 後は、その時の気分で殺し方を選ぶか。 ネズミらしく、ホルマリン漬けにするのも悪くない。 ククク……。 楽しみだ。 なんて、おかしなテンションで思っている時。 「だがカズ それには一つ条件がある」 ミリアが、何か提示してきた。 俺をミキに会わせる為に、何かをミリアと約束しなければならないらしい。 「条件?」 俺が尋ねると、ミリアは意外な事を言った。 「あぁ 休息だ」 ん? 「休息?」 「そうだ カズは昨日から何も食べておらず、碌に睡眠もとっておらぬ 右足の怪我も、万全とは言い難い状態だ カズには今、休息が必要な筈だ 脆弱な人間ならば、尚更な」 ふむ。 確かに、一理ある。 だが、不思議と疲労は特に感じていないんだよな。 むしろ、調子が良いくらいだ。 だがまぁ、ミリアの出した条件だ。 大人しく従っておこう。 「分かった」 「うむ それでよい では一度、私の住む洞窟へ戻ろう ここにはもう用はないのだろう?」 そうだな。 だが一応、ヒトマル内部はリコに調査をしていてもらおう。 ひょっとしたら、他に何か見付かるかも知れないし。 「ちょっと待ってくれ 一応調べてみる リコ頼む」 「はいマスター 既に入念に調査はしてみたのですが、残念ながら計器類、火器管制システム、予備弾薬等の諸々は全て損壊していました ここから得られる物はもうないと判断します」 「そうか 分かった」 リコの確認もとれた事だし、本格的に用はないみたいだな。 「じゃあ、出るか」 俺が呼び掛け。 「そうだな 何れにせよ、ミキを相手どるにはそれなりの準備が必要だ 一度、体制を整える事が先決であろう」 「私もミリアさんに同意見です! マスターにもしもの事が起きてはいけませんから!」 ミリアとリコは反応して、俺達はヒトマルを出た。 そしてラロ遺跡を後にして、ガスマスクを外す俺。 やはり、澄んだ空気は気持ちいいなどと思いながらも、ラロ遺跡で知った真実を振り返る。 ミキは、ニルヴァーナを利用してラロの民を滅亡させた。 つまりミキには、ニルヴァーナが"文明を滅亡させる理由"を知っている事になる。 その理由を俺は知らねばならない。
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加