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――翌日。
俺は洞窟で目覚めた。
昨日、ラロ遺跡を後にした時、俺はミリアに連れられ洞窟で休息をとった。
久々に得た食事は、見た目こそ酷かったが、味は不思議と不味くはなかった。
アストランで食ってきた物は、どれも口に合わなかったが、ミリアに出された黒ずんだドロドロの物体は意外に食えた。
とうとう俺の舌が、おかしくなっちまったのか?
そんな事を思った事だけが、印象に残っている。
その後は、ミリアに長々と話を聞かされた。
どうも、俺に宿っている"闇"についての話だったらしい。
"らしい"と言うのは、あまり話を覚えていなかったからだ。
つまり、俺は話の途中で寝落ちした。
なんか、"闇"を"術"に応用する業。
"闇術"なるものを云々言っていた気がするが……。
そこから先の記憶はない。
済まんなミリア。
マジごめん。
やっぱり俺、相当疲れていたんだな。
自分自身なにも感じなかったのが恐ろしい。
だが、おかげですっきりした。
俺は立ち上がり、洞窟の入り口まで歩いてみる。
ふむ。
足は、昨日に比べて断然利く。
疲労も払拭され、体力は満杯。
良い感じだ。
入り口にたどり着き、ふと空を見上げてみる。
曇っているな。
唯一気になるのは、この暗雲だけか。
だがまぁ、ネズミを駆除するには相応しい空模様じゃねぇか。
さて。
「ミリア起きろ
朝だ」
「む……うーん……
分かった……
少し待っておれ」
ミリアはもぞもぞと起き上がると、目をこすった。
ミリアの準備を待つ。
そして。
「待たせたな
カズの方は準備ができておるのか?」
女にしては身支度が早いな。
「あぁ
いつでも行けるぞ」
「分かった
では参ろうか」
「あぁ」
「王に制裁をしに」
「魔物を駆除しに」
おっと。
俺とミリアでは、妙に思想が違うみたいだな。
まぁ、結局やる事は一緒なんだが。
そして俺達は、洞窟を発った。
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