駆除

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しかも、なんか言ってる事矛盾してねぇか? ミリアは以前にも言っていたが、闇が"弱くて危険"ってどういう意味なんだ? 弱いんなら、危険性が無いように思うんだが。 「弱いのに危険って?」 俺は、矛盾だと思った事をミリアに尋ねた。 するとミリアは。 「弱さと、強さは相反しない 必ずしも、強さが勝るとは限らないのだ」 おっと、何言ってんだコイツ。 なにやら、難しい事を言ってきた。 哲学かな? 「ん?」 俺は頭上に疑問符を浮かべていると。 「分からぬか? そうだな…… では一つ、例えばの話をしよう」 ミリアは説明を始めた。 例え話だと? 「どんな?」 「例えば 肉体だけの真剣勝負事に、武器を用いる奴に対して、カズはどう思う?」 「それは…… ソイツが弱くて最低な奴だとは思うが」 「そうだ そういう奴は、人として弱さの究極に位置すると言っていい だが、武器を用いているから勝負には勝てる つまり、強いんだ」 その例え話を聞いて、俺はミリアの言っている事を理解した。 つまり、決められたルールに則るという勝負の概念すら捨てて、勝つ事だけに固執する強さだと。 だがその強さは、自らを弱者と認めてしまい、勝負そのものを放棄した偽りの強さと言える。 ミリアが言いたかったのは、そういう事か。 確かに、そんな弱さは危険だな。 ん? 待てよ……。 まさか、それが……。 俺がある事に気付いた時。 ミリアは、それを口に出して言った。 「分かったか? これが、"弱さの危険性"だ そして、人間特有の魔力 "闇"の概念的特徴でもあるのだ」
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