駆除

8/57
前へ
/805ページ
次へ
おう、マジか。 闇の性質、最悪だな。 要するに、卑怯な魔術って事じゃねぇか。 でも……。 どんな力だろうが、俺に宿った力には違いない。 なんとか、使いこなしてみせる。 俺がそう思った時。 「だが、その闇は間違いなくカズ自身の力だ 操る事ができれば、きっとカズの助けになるだろう」 ミリアも同じ事を思っていたらしい。 俺を激励してくれた。 「おう 頑張ってみるよ」 すると。 「闇は人間特有の魔力だからな 人間のカズならば、もしかしたら杖無しでも扱えるかもしれぬぞ?」 ミリアは、闇を扱う際のアドバイスをしてくれた。 杖無しでも扱えるだと? そういえばミリアも、魔人特有の魔力"炎"、"毒"、"酸"を杖無しで扱っていたな。 なるほど。 どうやら、人種に密接な関係のある魔力は、杖を介して術を発動する必要は必ずしもないらしい。 「へぇ いい事聞いたよ ありがとうな」 ミリアのアドバイスに、素直に感謝する俺。 するとミリアは……。 「そ、そこでだカズ もし、良かったらのだが……」 ん? なにやら、モジモジして何かを言いたがっていた。 「なんだ?」 「私が魔術の扱いを教えてやってもよいぞ? 基本的な扱いは熟知しておるからな」 あ、なんだ。 そういう事か。 俺に魔術を教えたかったのか。 それは、実にありがたいのだが……。 でも、なんで? ん? まさかミリアの奴……。 俺の事を……。 「弟子にでもしたいのか?」 そうだ。 そうに違いない。 俺を弟子にして、何か色々とコキ使う気だ。 俺は何故だか知らないが、そんな疑念を抱いていた。 その時。 「いや師弟の関係を云々言う気はないよ 私が闇に興味あるだけだ それに、カズとはこの戦いが終わった後でも、時々会いたいしな」 ふむ。 コキ使われる事は無いようだな。 そして、その説明で俺はミリアの本音を理解した。 「なんだよ そうならそうと早く言えよ」 「む?」 「俺と別れるのが寂しいって事だろ? 心配するな 魔術を学習しに来る目的以外にも、たまに遊びにきてやるよ」
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加