駆除

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「この中にミキが居るのか?」 ミリアの妙に確信をもった言い方が気になり、俺は再確認をした。 するとミリアは、その確信の理由を答えた。 「あぁ 私はミキに会うのは初めてでは無いからな 拠点を移していなければ、この奥に居る筈だ」 なるほど。 一度、会っているからミキの居場所を容易に特定する事ができたのか。 そうと決まれば、ぐずぐずしている暇はない。 「じゃあ、入るか」 俺はホルスターから、拳銃を取り出すと、警戒の構えを取る。 「あぁ、参ろう」 ミリアはそう言って、こう続けた。 「"魔人術"『照火球』」 ミリアは自らの手から火の球を放つと、洞窟の内部を明るく照らした。 この魔術は、ラロ遺跡にあった"地下鉄"で使った魔術だな。 真っ暗闇だった洞窟の内部は、瞬時に明るく照らされた。 その時。 「――――!!」 洞窟内部を見て、俺は言葉を詰まらせた。 俺が見た物。 それは、無数の小さな魔物だった。 小さいといっても、その大きさは猫程ある。 が、外見は猫とは似ても似つかない、ネズミそっくりな醜悪な見た目だった。 「なんだ、コイツ等!?」 俺は思わず声に出して、拳銃を構えた。 のも、束の間。 その魔物の集団は、まるで蜘蛛の子を散らすかの様に、洞窟内に散開した。 洞窟内部にある、岩の隙間、壁に空いた穴、土の中。 等々、至る方向へ向かってその魔物共は姿を隠した。 ん!? 逃げ出した……だと? 一体なんだったんだ!? やべぇ……。 困惑を隠しきれない。 とりあえず、ミリアに聞いてみるか。 「ミリア…… 今のは?」 俺の質問に、ミリアは答えを言った。 「あれが灰子だ 言ったであろう? ここは灰子の巣窟だとな」 あぁ、なるほど。 あれが灰子なのか。 でも……。 「何故、灰子共は逃げ出したんだ?」 「灰子は最弱の魔物だ その弱さたるや脂獣にも劣る 私達を見て逃げ出すのは、必然であろう」 「理屈は分かるが…… ミキも灰子なんだろ? あれだけの数の灰子が居たんじゃあ、その中からミキを見つけ出すのは不可能だぞ?」 「案ずるでない ミキは、獣の王だ "王"にとって必要不可欠な物を所持し、それが身に表れておるからな 見た目で直ぐに分かる」 ん? 「"王にとって必要不可欠な物"? なんだよそれ」 「"玉璽"(ぎょくじ)と呼ばれる物だ」
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