駆除

12/57
前へ
/805ページ
次へ
"玉璽"……? 聞いた事もない言葉に、戸惑う俺。 「なんだそれ?」 尋ねてみると、ミリアは歩を進めながら説明をしてくれた。 「"王たる所以だ "王"を"王"たらしめている要因といえる」 また、難しい事を……。 俺はミリアについて行きながら、必死にその発言の意味を理解しようとしていた。 それに構わず、ミリアの説明は続く。 「"王"の名を冠する者は、すべからく"玉璽"を持っておるのだ もっとも、 それは実体ある物だったり、 実体を持たぬ力だったり と様々だがな」 ふむ……。 要するに、"玉璽"っていうのは"王"だけが持っている特別な力か。 っていう事は、ニルバニアの王女レイナも、なにかしらの"玉璽"を持っているのか? まぁ、それは今はいい。 それより。 「ミキが持っている"玉璽"っていうのは?」 「それこそが、魔力"統導"だ 世に蔓延している、ありきたりな魔力ではなく その性質も、特徴も、全てから外れておる、特別な魔力 ミキはそれを有した事によって、王となったのだ 灰子とはいえ、ミキの持つ風格は王者そのものだ」 「ほぅ」 なるほど。 数多く居る灰子の中から、容易にミキを見分ける事ができる。 という、ミリアの自信はそういう事だったのか。 そして、しばらく進んだ時。 ひらけた場所に出た。 先程まで進んでいたのは、言わば道か。 そう思える程、この場所は奥行きもあり、幅も広く、天井もかなり高かった。 今までとは、明らかに違う場所。 その場に来た時、俺とミリアは一度立ち止まり辺りを見回してみた。 ふむ……。 幾つか分岐しているが、まだまだ進めそうな道はそこかしこにあるな。 どれだけ広い洞窟なんだ? と、思った時。 「去るがいい…… 余の聖域を侵す不届き者め……」 何か聞こえた。
/805ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5125人が本棚に入れています
本棚に追加