駆除

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俺は心配して、ミリアの様子を窺ってみた。 するとミリアは……。 「カズ、良い遣い魔を持ったな」 なんか普通に、無事だった。 逆に俺を気に掛けてくれている。 「ミリア? お前、なんともなかったのか?」 俺が疑問を尋ねると、ミリアは説明してくれた。 「リコは、雷属性の魔力を有しておったのだな 雷は炎を当てる事で、その威力を相殺できるのだ つまり私は、リコの雷から咄嗟に炎を放って免れたという訳だ」 いや、さっぱり分からねぇよ。 雷を炎で相殺? なんだ、それ? 「え? そうなの?」 俺はリコに、化学的な説明を求めた。 「た、確かに…… 熱は電気を通しにくい性質を有していますが…… 相殺とまでが可能なのかどうかは、私にも分かりかねます」 ふむ……。 一応、化学的な根拠はそれなりにあるんだな。 それでも、ミリアの成した事はデタラメに思える。 まさか、あの電撃を無傷で凌ぐとは……。 "科学"ではなく"魔術"という概念が、介入している事に関係があるのかもな。 まぁ、何はともあれミリアが無事で良かった。 ミリアさん、マジパネェ。 が……。 安心したのも束の間。 ミリアがリコの電撃を相殺したという事は……。 即ち、ミリアより先にはリコの電撃が及んでいない事になる。 位置的に考えて、ミキも無事だろう。 俺は態勢を整えて、ミキを確認する。 ミキは相変わらず、王者の風格を漂わせていた。 やっぱり、無事だったか。 結果的にミリアはミキを助けてしまった事になる。 が、ミキにはまだ、聞き出したい事が残っていた。 リコの電撃で、易々と死なれなくて良かったぜ。 ミリアには感謝だな。 ミキは、仲間を殺された事に憤慨している。 ……様子は見受けられなかった。 なかなか冷静な奴だ。 一連の事が終わった後、ミキはゆっくりと言った。 「おのれ…… よくも、余の眷族達をやってくれたな この"血の通わぬ歪んだ命"め」
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