駆除

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おい、ちょっと待て。 その理由は、極めて理不尽じゃねぇか? 先ず、1つ目の理由だが。 醜鬼と餓鬼を殲滅させた事に対しては、最初にふっかけて来たのはテメェだろ。 ミキがルペス村を急襲さえしなければ、俺がその配下とやらを全滅させる事はなかった。 実に自分勝手な考えを持つ奴だ。 まぁ、それに関しては後で言及してみよう。 それより気になったのは、2つ目の理由だ。 俺が"人間"だからだと? 解せないな。 "人間"は、俺以外にも沢山世に蔓延っているだろ。 なんで、その中から俺が狙われるんだ? 納得できる説明をしてもらおうか。 「人間は他にも居るだろ」 俺が尋ねると。 「いや、違うな 余が言っておるのは、汝が "本当の意味で人間"だという事だ」 ミキはまたしても、意味が分からない事を言った。 「"本当の意味で人間"って、どういう事だ?」 「それは、汝自身もよく分かっておるのではないか? 穢らわしい人間よ 一体どうやって、この時代に紛れ込んだ?」 ――――!! コイツ……。 俺が太古から来た人間だと、知ってやがる。 「何故、その事を?」 「なに、簡単な事だ 汝には、この世に既存して居る人間とは、明らかな差異が見られる」 「差異?」 「余には感じておるぞ 汝の心の中に渦巻く、どす黒く穢らわしい"闇"がな」 ん? そうか……。 確か、太古の人間は、すべからく闇を持っていたとダグ博士は言っていたな。 ミキは俺から闇を感じ取ったから、俺が太古の人間だと分かったという事か。 だが、そうなると自ずとミキが太古の事――つまり俺の居た地球の事を知っている事になる。 その疑問は拭えない。 すると、俺が尋ねるまでもなく、ミキは続けた。 「余は汝等、人間が憎い 余に刻まれし悠久の記憶が、人間を滅ぼせと常日頃から囁き掛けてくるのだ」
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